レガシーとは? ひと言で「遺産」といってよさそうですが、近頃特に耳にするようになったのは2020年東京五輪について、小池知事等が「レガシー」を使うから。2020年東京オリンピック・レガシーはこれからどんな展開となるでしょう。
都政改革本部会議が調査報告書を出し、東京オリンピックについて3つの競技会場建設の見直しを提言した報道は、つい最近の9月28日のこと。
建設の中止や見直しはいま検討の最中につき不透明ですが、それについて小池都知事の、発言が注目されます。
「オリンピック・パラリンピックに関して、今日は第一次調査報告。都民ファースト・アスリートファースト、必要なレガシーをワイズスペンディングで」(小池百合子 都知事)
(TBSニュース 9月29日より)
小池知事になってから、ちょっと横文字が多いようです(笑)。ついでにワイズスペンディング=賢い支出ということで、必要な有形無形の遺産を、賢い支出で残しましょう、とのニュアンスでいいでしょうか。
言い方を変えれば、必要でない遺産のためには、賢くない支出はしない、ということか。
ただ、レガシーという言葉は小池百合子氏が独自で使っているわけでなく、「公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会」が大会のビジョンや計画を示すのと同時に「アクション&レガシー」の項目で、そのコンセプトを紹介しています。
東京2020大会は、単に2020年に東京で行われるスポーツの大会としてだけでなく、2020年以降も含め、日本や世界全体に対し、スポーツ以外も含めた様々な分野でポジティブなレガシーを残す大会として成功させなければいけません。
東京2020大会組織委員会は、多様なステークホルダーが連携して、レガシーを残すためのアクションを推進していくために、「スポーツ・健康」、「街づくり・持続可能性」、「文化・教育」、「経済・テクノロジー」、「復興・オールジャパン・世界への発信」の5本の柱ごとに、各ステークホルダーが一丸となって、計画当初の段階から包括的にアクションを進めていくこととしました。
(組織委員会サイトの アクション&レガシープランとは より)
上記のプラン解説は、率直なところ、分かったような分からないような・・・ですが、東京オリンピック開催にあたり、関係者にとって「レガシー」が当初から重要概念であることは確かでしょう。
ところで大会の3つのコンセプト(初めて読んだ!)は、「全員が自己ベスト」「多様性と調和」「未来への継承」だそうです。未来への継承として、次の言葉があります。
東京1964大会は、日本を大きく変え、世界を強く意識する契機になるとともに、高度経済成長期に入るきっかけとなった大会。
東京2020大会は、成熟国家となった日本が、今度は世界にポジティブな変革を促し、それらをレガシーとして未来へ継承していく。
(同上サイト)
確かに1964年の東京オリンピック前後から日本が高度成長期を迎え、飛躍的な発展を遂げたのはいわば感動的な、母国の歴史でした。高速道路が作られ、新幹線が走り、空港からオリンピック会場への交通インフラも整えられました。
東京駅からひかり1号が発車したのはなんと1964年の10月1日。あと9日でオリンピックが始まるという日です。毎日新聞の資料によると、東京から大阪までの「2等」料金が(つまり1等もあった)2480円。当時の大卒初任給が2万円くらいとのこと。
羽田空港と浜松町間のモノレールが開通したのも、やはり1964年(昭和39年)の9月。新幹線の開通にあたっては、すでに在来線も私鉄もたくさん走っており、それらの上に新幹線を築くには、想像を絶するような難工事を、期間内に成し遂げたという「ドラマ」がいっぱいあったそうです。
昭和の香りが漂って、ふとかつての番組『プロジェクトX』を思い出したりしました。
・・・しかし、あの時のオリンピックが感動的だったということと、今回の2020オリンピック開催に向けて、膨大な予算が膨らむ一方ということは、別問題。
東京都の取り組みとしては「競技施設や選手村のレガシーを都民の貴重な財産として未来に引き継ぐ」ということが、他の多くの項目とともに掲げられています。
有明アリーナが建設中止なら日本バレーボール協会は?にありますように、荒木田裕子氏は「レガシーを考えてあれだけ議論した」とあります。
建設においては賛否両論どちらもレガシーを考えているとも言えるでしょう。難しいですが・・そして関係ない話、スバルのレガシィが好きな方にとっては、「レガシーでないよ、レガシィ!」でしょうか。